サプライズな薄毛 病院
この修復遺伝子の変異が生じると、複製の誤りから遺伝子が修復されずにそのまま集積されるため、大腸がん以外にも先に述べたいろいろながんを合併しやすいのである。
以上の遺伝の絡んだ二つの大腸がん(FAPとHNPCC)は全大腸がんのおよそ五パーセントを占める。
遺伝性乳がんはさきに触れたが、そのほかにも遺伝性と思われるがんはいくつかわかっているが省略する。
ところでがんとは直接関係のない劣性遺伝性疾患のあるものが、ある種のがんを作りやすいという事実がいくつかみつかっている。
色素性乾皮症(XPと略称)がその一例である。
この劣性遺伝性疾患は一〇歳以下の幼少児を冒し、日光に過敏なため顔などに炎症を起こし、やがておよそ九〇パーセントに多発性の皮膚がんを発生する高発がん性遺伝病の一つである。
皮膚がんが発生するのは、色素性乾皮症患者の細胞は紫外線によって生ずるDNA障害を修復する機構に異常があるためとわかっている(日本のXP患者は日光にあたらないとか日やけ止めをぬることで現在、ほぼすべての皮膚がんは予防できる)。
そのほか末梢血管拡張性運動失調症、ブルーム症候群、ファンコニー貧血といわれるものも高発がん性の劣性遺伝病で、いずれも白血病などの発生率が高い。
これら遺伝がかかわるすべてのがんは親から子供にどのように受け継がれるのだろうか。
がんの遺伝もメンデルの法則に従う。
親から子への遺伝様式の一つは優性遺伝であり、もう一つは劣性遺伝である。
もし親の一方が優性遺伝子をもっていて(もう一方がもっていないとして)生まれてくる子供のなかでその優性遺伝子をひきつぐ確率は五〇パーセントである。
もう一つ劣性遺伝子を両親二人とももっていたとすると、子供の二五パーセントが劣性遺伝病として発症し、五〇パーセントが劣性遺伝子をひきつぐことになる。
網膜芽腫に代表される遺伝性のがんは優性遺伝であり、色素性乾皮症など高発がん性の遺伝性疾患は劣性遺伝である。
いままでにわかっている遺伝性のがんはいくつかの特徴がある。
一つは、発生する頻度の比較的少ないタイプのがんであるということである。
人間によくみられる肺がん、胃がんといったがんには明らかな遺伝的背景はまだみつかっていない。
また年齢的にみて若年者に出てくる傾向がある。
四〇歳以降のがん年齢になってから出るがんではなく、四〇歳ぐらいまでの若年者に出てくるか、あるいは子供のうちに出てくるものが多い。
遺伝性とみられるがんは、果たしてわれわれの生活環境の改善などによって予防できるだろうか。
その効果にはおのずから一定の限界があるかもしれないが、環境の関与も十分に考えられることから、生活環境の改善によってできるだけ二度目以降の細胞の突然変異を起こさないようにすることである。
定期的な検査によるがんの早期発見も大事なことである。
これらの努力によって被害を最小限にとどめることはできる。
遺伝性腫瘍といえども決してあきらめないことである。
小児のがんは大人のがんが年齢的に早く出てきたものではない。
がんが出てくる臓器も違うし、発生母地の細胞も違う。
たとえば大人に多い肺がん、胃がん、乳がんが上皮性細胞由来の「がん腫」であるのに比べ、小児がんは白血病をはじめ骨肉腫、網膜芽腫、神経芽腫など非上皮性細胞由来の「肉腫」が多い。
このことからみても、小児がんは大人のがんとは基本的に違うことがわかる。
「もの」が違うというよりまずその原因が違っていると考えられる。
小児がんの原因について考えてみよう。
がん化の原因となる細胞の突然変異は、小児がんでは遺伝的に「自然」な突然変異が考えやすいのに対し、大人のがんでは環境によって「誘発」された突然変異が考えやすい。
細胞の突然変異が何回ぐらい起こるとがんになるかといえば、小児がんは少ない回数で、おそらく二~四回の突然変異でがん化すると思われる。
一方、大人のがんは少なくとも四回以上の突然変異がないとがん化しないと考えられる。
こうした事実から、がんの「予防」の可能性を考えると、突然変異を抑えるという見方からすれば大人のがんに大きく期待できそうだが、小児のがんには限界がありそうだということになる。
「治療」の見込みはどうかというと、大人のがんには一定の限界があるとも考えられるのに対し小児がんの方は大きな期待を持てそうである。
ただ、遺伝に関係の深いがんのむずかしさの一つは、がんが出て治って、それで終わりではないことである。
いつか別の新しいがんが出てくる傾向があるからである。
たとえば網膜芽腫は治癒しても、残念ながらそれで終わりではなく、その後に骨肉腫が出てくることがある。
よく調べるとこのような子供のがんはさきに述べたRB遺伝子の突然変異のほか、とくにP53遺伝子の突然変異が加わって発生していることがわかる。
またこのような子供が成長したあと肺がん(小細胞がんといわれるタイプのもの)になることがあり、これは染色体三番の短腕の部位の突然変異が起きてから発生するといわれる。
このことはRB遺伝子の異常は網膜芽腫だけでなく、それ以外のいろんながんの発症にからんでいることを示している。
遺伝性のがん、あるいは遺伝のかかわったがんはこれからもまだ多くみつかってくる可能性はある。
ただ、がんの遺伝は三世代以上にわたって長期生存する数多くの家系を調査することから見つけ出していくもので、今後少子化の傾向がすすんでいくと遺伝研究は少しくむずかしくなってくるかもしれない。
アメリカのある外科医の奥さんが乳がんで亡くなった。
外科医としても残念なことであったが、さらに心配になって二人の娘さんにBRCA1遺伝子の検索をすすめた。
亡くなった奥さんにはこの遺伝子の変異が見られたので、ひょっとすると二人の娘さんにも同じような変化があるかもしれないと気になったからである。
残念ながら二人の娘さんともにBRCA1遺伝子の変異が認められた。
最愛の奥さんを亡くしただけでなく、二人のかわいい娘さんも近い将来乳がんになる可能性が高いことに心を痛めるのであった(残念ながら二人のお嬢さんがその後どうしているかは聞いていないが、おそらくタモキシフェンによる化学予防を受けたのではないか。
)。
BRCA1の変異があれば、四〇歳以下の人で二〇パーセント、五〇歳以下だと五〇パーセント、七〇歳以下では八〇~九〇パーセント言本人はおよそ全年代層を通して三〇パーセントといわれる)に乳がんの発生の可能性がわかっている。
乳がんだけでなく卵巣がん(危険率五〇~六〇パーセント、大腸がんも好発するといわれる。
本来、BRCA1遺伝子の変異が認められるのは欧米人で二〇〇人から六〇〇人に一人というから、決して高い比率ではないが、いったんこの遺伝子の突然変異が見られるとそのような人は乳がんなど発がんの可能性が極めて高くなるのである。
もう一つAPC遺伝子の異常は大腸がんのリスクを高めることがわかっている。
APC遺伝子に加えてK・RAS遺伝子、P53遺伝子の異常が重なると大腸がんの発生だけでなく、次第に悪性度の高い大腸がんに進展していくことになる。
アメリカでは最近、テレビ・新聞でも遺伝子診断という言葉がよく出てくる。
遺伝子検索によって自分が将来どこのがんになりやすいのかリスクを調べようというのである。
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皮膚がんが発生するのは、色素性乾皮症患者の細胞は紫外線によって生ずるDNA障害を修復する機構に異常があるためとわかっている(日本のXP患者は日光にあたらないとか日やけ止めをぬることで現在、ほぼすべての皮膚がんは予防できる)。
そのほか末梢血管拡張性運動失調症、ブルーム症候群、ファンコニー貧血といわれるものも高発がん性の劣性遺伝病で、いずれも白血病などの発生率が高い。
これら遺伝がかかわるすべてのがんは親から子供にどのように受け継がれるのだろうか。
がんの遺伝もメンデルの法則に従う。
親から子への遺伝様式の一つは優性遺伝であり、もう一つは劣性遺伝である。
もし親の一方が優性遺伝子をもっていて(もう一方がもっていないとして)生まれてくる子供のなかでその優性遺伝子をひきつぐ確率は五〇パーセントである。
もう一つ劣性遺伝子を両親二人とももっていたとすると、子供の二五パーセントが劣性遺伝病として発症し、五〇パーセントが劣性遺伝子をひきつぐことになる。
網膜芽腫に代表される遺伝性のがんは優性遺伝であり、色素性乾皮症など高発がん性の遺伝性疾患は劣性遺伝である。
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四〇歳以降のがん年齢になってから出るがんではなく、四〇歳ぐらいまでの若年者に出てくるか、あるいは子供のうちに出てくるものが多い。
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小児のがんは大人のがんが年齢的に早く出てきたものではない。
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たとえば大人に多い肺がん、胃がん、乳がんが上皮性細胞由来の「がん腫」であるのに比べ、小児がんは白血病をはじめ骨肉腫、網膜芽腫、神経芽腫など非上皮性細胞由来の「肉腫」が多い。
このことからみても、小児がんは大人のがんとは基本的に違うことがわかる。
「もの」が違うというよりまずその原因が違っていると考えられる。
小児がんの原因について考えてみよう。
がん化の原因となる細胞の突然変異は、小児がんでは遺伝的に「自然」な突然変異が考えやすいのに対し、大人のがんでは環境によって「誘発」された突然変異が考えやすい。
細胞の突然変異が何回ぐらい起こるとがんになるかといえば、小児がんは少ない回数で、おそらく二~四回の突然変異でがん化すると思われる。
一方、大人のがんは少なくとも四回以上の突然変異がないとがん化しないと考えられる。
こうした事実から、がんの「予防」の可能性を考えると、突然変異を抑えるという見方からすれば大人のがんに大きく期待できそうだが、小児のがんには限界がありそうだということになる。
「治療」の見込みはどうかというと、大人のがんには一定の限界があるとも考えられるのに対し小児がんの方は大きな期待を持てそうである。
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